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2014.08.15

夏の漢方:夏場に多い脳梗塞の予防

脳卒中は脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、破れたりして(脳出血・くも膜下出血)、その先の細胞に栄養が届かなくなって、細胞が死んでしまう病気です。従来は血圧が上昇しやすい冬に多い病気として知られていました。しかし、このうち血管が詰まる脳梗塞、特に脳の細い血管が直接詰まる脳血栓症については夏場の方が多い傾向にあることが国立循環器病研究センターの調査(日本脳卒中学会で2004年発表)で判明しています。

夏の脳梗塞の増悪因子
○暑さによる発汗、冷房による乾燥、アルコール摂取による利尿→脱水状態→血液の粘性上昇(いわゆる「血液ドロドロ」)→細い血管で詰まりやすくなる
○暑い→熱を逃がすように体表近くの血管が拡張→血圧が低くなる→心臓や脳への血液供給が低下しやすい→血流速度が低下して血の塊(血栓)ができやすい

<水分「補給」≠水分「摂取」?!>

上記の脱水の危険性と、その予防の為の水分補給については各所で紹介されていますから、「ちゃんと水分補給している」と言う方も多いと思います。しかし、水分を口から飲む=「摂取」するだけでは、体に必要な水分が「補給」されるとは限らないのです。


東洋医学では、体内で正常にはたらいている水分のことを「津液(しんえき)」と言います。つまり、口から「摂取」した水分が「体内に吸収されて」「必要なと ころに分配されて」「必要な機能を果たして」「不要な分は排出される」という流れに乗って初めて必要な水分=津液が「補給」されたと言えるのです。
この一連の流れを生み出すエネルギー=「気」は食べ物と大気から補充され、体の諸活動で消耗されていきます。

夏場の発汗は気を消耗します。
さらに水分摂取で胃液や消化液が薄まったり、冷えて腸管の動きが悪くると、食べ物から気を取り出す脾胃(=消化器系)のはたらきが悪くなり、気が補充されにくくなるので、ますます気が不足してしまいます。

夏場の脳梗塞予防で重要な点を漢方の立場からまとめると、
1.体の負担が少ない水分摂取を心がける(冷たすぎない水をこまめに など)
2.吸収された水分を津液・血液として運用するための栄養(=気)を補う
3.少ない水分・エネルギーでも効率良く体を運用できるように活血(血液の流れや質)を心がける
となります。

このうち1・2に役立つ薬ついては「夏の漢方:熱中症、夏バテ、冷房病などの対策に」でも触れていますので、今回は3の「活血」に役立つ薬をご紹介いたします。

「丹心方(たんしんほう)」はシソ科の丹参(たんじん)の根を主薬とした方剤で、血の質を改善し血液の流れをよくして「血液ドロドロ」等と表現される、「瘀血(おけつ)」を改善するためのお薬です。
丹参にはこんな作用があります

血管拡張・血流量増加 血栓形成予防効果 血管の老化予防 血圧降下 抗酸化作用
さらに「気」を巡らせる川芎(せんきゅう)、木香(もっこう)、香附子(こうぶし)を配合することで「気行(めぐ)れば、すなわち血行る」作用を増強しています。

この他にも症状や体質に合ったお薬をお勧めさせいただきますので、「漢方相談」をぜひご利用ください。

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