アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎はよくなったり、悪くなったりをくり返しながら長期間続く皮膚炎で、症状は痒みのある湿疹が中心です。乳幼児期に始まることが多く、成長とともに改善することが多いのですが、成人以降も症状が続いたり、逆に成人してから発症するような場合もあります。
「アトピー(atopy)」はギリシア語で「奇妙なこと」を意味する「atopia」に由来します。アトピー性皮膚炎はその名の示す通り、原因不明の奇妙な皮膚疾患ではありますが、原因には体質的なものと環境的なものとが絡んでいると考えられています。皮膚が痒みを起こしやすい体質とは、以下の2つが主な原因と考えられます。
アトピー素因:生まれつきアレルギー反応を起こしやすい体質のこと
皮膚過敏性:皮脂や水分が不足し、外部からの刺激に対する防御機能が弱い皮膚の状態
体質が関連することもあり、アトピー性皮膚炎を一度発症したことがあるならば、再発の可能性をゼロにすることはできません。しかし、耐え難いかゆみや目を覆いたくなるほどひどい湿疹にはなりにくい、あるいはなってもすぐに収まるような状態まで改善することで、アトピー性皮膚炎と賢く付き合っていくことは可能です。
治療の概要
アトピー性皮膚炎には症状に応じた治療が重要です。
ステップ1:寛解導入期(症状がひどい時はしっかり治療しましょう)
薬物療法で炎症を抑える(特にかゆみと湿疹)
この時期の治療には抗炎症作用に優れた副腎皮質ステロイドを含む外用薬を正しく使うことが必要です。その他に免疫抑制剤、抗ヒスタミン剤、非ステロイド性消炎鎮痛剤を含む外用薬も使われることもあります。
また、かゆみを抑えるために抗ヒスタミン剤、抗アレルギー薬の内服薬も使われます。
この時期に適した漢方薬は、皮膚の熱を冷ます清熱剤、湿疹部位の余分な水分を取り除く利湿剤、黒ずみや紫斑などの滞った血液(瘀血:おけつ)を取り除く駆瘀血剤などです。
入浴と保湿剤によるスキンケア
症状を抑えて、薬の効果を高めるには毎日の入浴やシャワーが大切です。泡立てた石鹸や低刺激洗剤でやわらかく洗い、表面に洗剤が残らないようすすぎをしっかり行います。引っ掻いて傷ついた皮膚は滲出液〈しんしゅつえき〉が付着し、細菌が繁殖しやすいため、入浴やシャワーによる皮膚の洗浄が必要です。
入浴やシャワーによって皮膚に潤いを与えられますが、入浴後何もしないとすぐに乾燥してしまいます。皮膚が乾燥する前に、保湿用の外用薬や化粧品を全身に塗るのがスキンケアのコツです。
生活習慣改善(特に悪化因子探しとその対策)
一度に多くの点を改善するのが大変な場合は、影響が大きそうなもの・改善の負担が少ないものから順番に行いましょう。
肌と擦れるたり洗剤の残った衣服、部屋のほこり・ダニ・花粉、過食や偏食、睡眠不足、ストレスなどが悪化因子として考えられます。
ステップ2:寛解維持期
(症状が治まってきたら、その状態を維持しましょう。再発した時は、早めに治療しましょう)
スキンケアと生活習慣改善は継続
悪化要因を避けるのも大事ですが、こうすれば良くなる! というような気晴らしやリラックス方法も見つけてみてください。よくなる方法があれば、悪くなりかけた時も余裕が持てます。
また、治療や生活習慣改善で、負担が大きいと感じることは制限を緩めることも考えましょう。過度の食事制限、日焼けを避けるための極端な外出制限、効果が不確かで高額な医薬品・健康食品・保湿用剤の連用、治療のための遠距離移動、余暇を削る程の時間を要するスキンケア、などを行っていませんか? もう一度治療と生活を見直してみてください。
漢方薬による体質の改善
体質改善は漢方薬が得意とするところです。
皮膚を栄養する血液を補う補血剤、皮膚の潤いに必要な水分を補う滋陰剤、消化吸収やエネルギー代謝を助ける補気剤、ストレスが身体に影響することを和らげる理気剤などが、本人の体質に応じて用いられます。
外用薬の予防的使用(プロアクティブ治療)
重症例や再発を繰り返すような場合、ステロイド製剤の強度や使用量、使用間隔を落としながら、今まで炎症が起こっていた部位全体に予防的に使用することを継続します。ステロイド外用薬からの離脱を急ぎすぎず、上手に減らしていきましょう。
ヤブザキ信栄堂薬局が応援できること
アトピー性皮膚炎のすべての病期に対応します
- 皮膚科などで治療を受けている場合は、処方せんを応需したり、すでにお手元にある薬の使用法や副作用のチェックをお手伝いします。(処方せんの応需についてはこちら)
- 皮膚症状の軽減や体質改善に漢方薬をご希望される場合は、ご相談に応じます。(漢方相談についてはこちら)
- スキンケア用の保湿用外用剤や化粧品、一般販売用のステロイド外用薬やかゆみ止めの内服薬をご用意しています。(一般用医薬品販売についてはこちら)
- アトピー性皮膚炎の治療に関する情報はインターネットや書籍などで豊富に入手できますが、多すぎる情報はかえって扱いづらいものです。本人に必要な医療情報を整理しご提供いたします。目指しているのは、「医療情報のCurator(キュレーター)」
- 薬以外の生活全般についてもご相談いただけます。特に鍼灸治療に関しては、鍼灸師の資格を持った薬剤師が常勤していますので、リラックスの手段として、または症状の軽減や体質改善のための選択肢として具体的にご提案することができます。
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